======================================================  クライオニクス・マガジン(第7号 1999/11) ====================================================== 日本初、そしてもちろん唯一のクライオニクス (人体冷凍保存)についての雑誌です。 今月号は米国最新事情をお知らせします。 ======================================================  21CM、CCR、ABSの動き ====================================================== 9月24日「Congratulations to 21st Century Medicine!! 」 という記事がクライオネット(http://www.cryonet.org/)に 投稿されました。21世紀医学研究所(以下21CM、 http://www.21CM.com)の研究の特許が公開され、細胞を壊さないで 臓器(肝臓等)を低温保存し再生させることがほぼ可能になった ようです。大ニュースです。21CMのホームページの更新は 決して早くはないのですが、一応チェックしておこうと訪問した ところ「あれ?」と思うことがありました。「マイクがいない。」 Mike Darwinは21CMの創立メンバであり、ソウル(Sail Kent)を 除けば21CMの中ではもっとも影響力のある人です。それよりも、 ジェリーと開発したサスペンションの手法で70年代から80年代の アルコーが最も伸びた時代を支えた人です。いまでも若干の改善は あるものの、マイクの手法で低温保存は行われています。 そのマイクが21CMを離れ、CCR(Critical Care Research) という組織を立ち上げました。どうなっているんだろう?? 数日後、ソウルから解説がありました。一言でいうと、 「21CMは臓器等の低温保存技術で市場にうって出る」と いうことです。米国ですらも、クライオニクスの印象は悪く、 推進している人達は「得体のしれない、気味が悪い人たち」 と見られています。しかし、今回21CMが達成した成果は 現在の医療でも様々な応用が可能なものです。科学の王道を 歩けるものです。それをまだ認知されていないクライオニクス といっしょの事業体にするのは具合が悪かろうとの判断のようです。 それで、マイクは別組織をたち上げることになったようです。 「21CMはBrain Cryopreservationの研究を目標にしていない」 とソウルは言っています。 では、Brain Cryopreservation(脳の低温保存)の研究はどう するのでしょうか? マイクのCCRがやるのでしょうか? 違います。ABS(Advanced BioSciences)という新しく設立する 団体が行います。資金の募集は来年の早い時期に行われるとの ことです。あまりお金がない人も投資できるようにしたいと ソウルは言っています。原文を転載します。 It is my inten- tion to make it possible for both wealthy (and not so wealthy) cryonicists to invest in ABS.... 「あまり裕福でない人」にカッコがついているところが笑えます。 (泣けます??) さて、ちょっと医療に詳しい人は「本当に臓器の低温保存ができる のか?」と疑問をもたれるでしょう。実は私もそうです。 クライオネット読者からも「デモはしないのか?」との質問が ソウルにありました。その答によると、いま機械を待っていて 年内には到着するだろう。そうしたらデモができるようになる、 ということでした。21CMはソウルがビタミン剤販売等の事業で 儲けたお金で運営されています。装備は決して潤沢ではありません。 昨年5月ポールが日本にきてプレゼンをやったときも、「研究はかなり いい線までいっているが、検証する機器が用意できないのだ」と 言っていました。今回の特許の実験も企業か大学の設備を借りたの でしょう。しかし、成果がでた今は機械を手に入れることができる のです。確実にレベルは上がっています。 クライオニクスの世界と10年以上関わっていますが、一つの時代 が終わり、新しい時代にはいったな、と感じています。 JCAとしては、この21CMのデモの結果や、ABSの設立等を ウオッチし、日本(のそんなに裕福でない人)からもABSの事業に 投資できる枠組みを作ることが当面の大きな仕事でしょう。 がんばってやりたいと思います。 ======================================================  誰が金を出すのか?(coffee braek) ====================================================== 21CMの特許のニュースが流れたとき、クライオニクス界では 30年間何度も繰り返されてきた話題がまたでました。それは、 「ビル・ゲイツのような金持ちを説得し、金を出してもらおう!」 といことでした。ここ数年でも「マドンナは興味があるらしいぞ!」 「マーク・アンドリーセンが肯定的な意見を書いていた記事を読んだ」 などの話題がでてきました。こういうとき、必ず書き込むのがソウル です。「まず自分たちが金を出せ!」 これは説得力あります。 ソウルはクライオニクスが始まった当初、研究にお金をだすよう資産家 や企業を説得しました。それがかなわぬと、自ら事業を立ち上げ、 成功したその事業から年間2億円ものお金を研究につぎ込んでいます。 「クライオニクスプロバイダはもっと宣伝に力を入れるべきだ」 などの意見がでると、「まず、あんたがやりなさい」というのもソウル です。今回、ソウルは言っていたことでとても興味深かったのは、 「クライオニクス界に金持ちはいっぱいいる」「もっとクライオニクス にお金をだすべき、人生の中で優先度をあげれば十分なお金がある」 ということでした。うーん、耳が痛い! ======================================================  JCA秋のオフ&メンバまた募集 ====================================================== 10月11日、3人というひっそりとしたオフ会をやりました。 メンバは10名強いるのですが、みなさん忙しいです。ソウル がいうように優先度を上げなくてはいけないと痛感するオフでした。 JCAはこれまで通り、日本に正しく情報を伝えるという役割が あると思います。ABSへ投資する枠組みを作ることが今月新しい 役割として追加されたと言えるかもしれません。投資するかどうかは それぞれの判断です。投資した人は先行してサービスを受けられる などのメリットが出るでしょう。「人生での優先度をあげて」投資 しようと思っています。このような役割を果たすためには、以下の ような人材が必要です。 (1)国際間投資の基礎知識がある人 (2)21CMの研究成果を評価できる医療関係者 どなたか、手をあげませんか? また、一般の会員も大歓迎です。今のところ会費もない組織ですので ぜひ参加ください。お待ちしています。 ============クライオニクス・マガジン============ ・毎月1日発行 ・発行者:JCA(e-mail : cryo-j@kanon.to) ・発行人:山本 邦雄 ・このメールマガジンは、インターネットの本屋さん『まぐまぐ』 を利用して発行しています。( http://www.mag2.com/ ) http://www.kanon.to/jcamag.htmlから登録・解除ができます。 ・本メールマガジンはパブジーンからも発行しています。 http://www.pubzine.com/detail.asp?id=793 から登録・解除ができます。 =================================================