======================================================  クライオニクス・マガジン(第5号 1999/08) ====================================================== 日本初、そしてもちろん唯一のクライオニクス (人体冷凍保存)についての雑誌です。 まぐまぐ、パブジーン同時発行になりました。 ======================================================  アルコーの信託制度がバージョンアップ! ====================================================== Reanimationのための信託といえば Reanimation Foundation が老舗です。信託制度が柔軟なリヒテンシュタインで投信を利用して 財産を管理し、自分が法的に死んだ後も財産を管理してもらうことが できるすぐれもののグループですが、アルコーも信託制度をかなり 改善しました。今月はちょっと長いですが、アルコーからの発表文 を訳して掲載します。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 1999年6月26日 スティーブ・ブリッジ(アルコー生命延長財団理事会会長) ALCOR'S BOARD MAKES PATIENT CARE TRUST IRREVOCABLE アルコー理事会が患者ケア信託の「取消不能扱い」を決定 1999年5月2日、アルコー理事会の隔月会議で、「アルコー患者ケア信託 (Alcor Patient Care Trust)」を取消不能扱いにすることが満場一致で決定 された。これにより、アルコーで冷凍保存されている患者の資金保護がさらに 確実なものとなった。 アルコーの患者ケア信託は、アルコーの後援で設置されたアリゾナ州の公益信 託。税金(非課税)の面ではアルコーと同一団体となっているが、法的には まったく別の独立した団体である。しかし、将来必要性が出てくれば、税金面 でもアルコーとは別の団体とすることもできる。 この信託の目的は以下の通り。 1. 「患者ケア」資金が患者ケア関連の目的以外に使われないようにするため 2. 資金目当ての訴訟から資金を守るため 3. 患者の冷凍保存を続けられるようにするため 「患者ケア信託」は、アルコー理事会が選出した信託委員5名が実行する。委 員のうち3名は現在アルコーで冷凍保存されている患者の親戚で、アルコー理 事会委員は1名のみ。任期は5年。一旦選出された信託委員を解任するのはむ ずかしく、信託委員会の裁量権を守るため、数々の保護対策、チェック項目、 調整措置が設けられている。 この信託は1997年5月4日に設立されたが、当時はまだ「取消可能扱い」だっ た(当時は将来の問題を具体的に想定することができなかったため)。しか し、「取消可能扱い」のままにしておくと、アルコーの理事会はいつでも信託 を無効にすることができる。 信託を「取消不能扱い」にすると、信託の目的(=患者全員が蘇生されるまで 患者を冷凍保存しつづけること)が果たされるまで、アルコー理事会は信託を 「廃止」することができなくなる。 今回の「取消不能扱い」決定に至るまで、信託の一部修正がおこなわれた。修 正した箇所は、以下の通り。 1. 信託資金の管理人の定義が曖昧だったので、この部分を書き直した。 2. 信託理事会の理事職に空きができたものの、理事の条件を満たす者(冷凍 保存されている患者の親戚)がいない場合、アルコー理事会と信託理事会がも う少し柔軟性を持ってこのような事態に対処できるように(同時に彼らの権限 も限定できるように)、内容を書き直した。 信託は今後も変更できるが、「信託の目的達成に必要と認められた場合」で、 アルコー理事会と信託理事会で満場一致の賛成を得られた場合に限ることとす る。ただし、信託の目的そのものを変更することはできず、信託を廃止するこ ともできない。 現在の被信託人: Gary Meade (Alcor Director, patient relative, and a corporate attorney) Warren Robertson (patient relative and a CPA) Robert Schwarz (patient relative) Carlos Mondragon (former Alcor Director and former President of Alcor) David Brandt-Erichsen. ゲーリー・ミード(アルコー取締役、患者親戚、企業弁護士) ウォーレン・ロバートソン(患者親戚、公認会計士) ロバート・シュワーツ(患者親戚) カルロス・モンドラゴン(元アルコー取締役、元アルコー社長) デビッド・ブラント-エリクセン 信託資金はここ2年間で急激に増加している。すでにアルコーから、神経患者 向け資金14,000ドル、全身保存患者向け資金70,000ドルが信託に投資されてい る。アルコーと患者のための施設には抵当権(モーゲージ)が設定されてお り、抵当権の所有者はアルコー患者ケア信託。患者ケアにかかる費用は抵当貸 し(モーゲージ)の支払い(金利)だけでまかなっているため、その分を差 し引いた資金(そのほとんどがSalomon Smith Barneyの株式債券)は手つかず のまま増やすことができる。今後この信託への投資額がさらに増え、将来的に は患者蘇生技術の研究も信託資金でまかなえるようになることを期待する。さ らに、「現在の信託資金をこのまま増やしていけば、20年後には患者蘇生をす べて信託資金でまかなうことができる」という楽観的な意見もある。 しかし、資金が底を突いてしまったら、一体患者はどうなるのか? この問題は毎年のように理事たち(Directors)の間で議論されてきた。信託 が取消不能扱いとなった今、かなりの自信を持って「患者の冷凍保存を続ける 資金がなくなってしまう可能性は、ほぼ皆無」と言うことができる。 信託の全文テキストは、アルコーの冷凍保存プログラムに加入した会員と加入 手続きを始めた方々には3ドルで、一般の方々には18ドルで販売しておりま す。一般の方が15ドル高くなっていますが、この15ドルは患者ケア信託の法的 手続費用の一部に充てています。18ドルで信託全文テキストをお買い上げいた だいてから6ヶ月以内に加入手続きを始めると、加入費を15ドル割引いたしま す。 信託が設置されるまでの経緯(1992〜1997年)と信託の要綱は、「Cryonics Magazine」(3rd Quarter, 1997)をご覧ください。もしくは、アルコーの Brian ShockかJoe Hovey(Tel. 602-905-1906)までお問い合わせください。 ======================================================  信託でなく、信頼による Reanimation ====================================================== 上の試みは、お金によってよみがえろうとするものです。 別のやり方で復活を追及しているグループもあります。 「グループを作って助け合って復活に備える」という団体では Lifepact が老舗です。もし自分が回復(Reanimate)されたら Life Pactの他の メンバーの回復に尽力するということを誓うグループです。 最初のひとりは科学的研究のため復活できるだろう、そうすれば 誓った仲間は次々復活できるだろう、という趣旨で結成されました。 日本では Metamorphosis Society が同様の試みをしています。 「未来によきことをし、未来に行こう」とするグループです。 ホームページは http:..www.kanon.to/ms.html にあります。 現在改造中で、今度はシンプルできれいなページにする予定です。 ドラフトが http://www1.kcn.ne.jp/~mai/mizuho/mizuho2.htm にありますのでぜひごらんください。わかり易い英語になっていると 思います。 ======================================================  JCA秋のオフやります! ====================================================== 10月初旬を予定しています。次回マガジンで詳しくお知らせ します。東京です。「いってみようかな」という方がいらしたら cryo-j@kanon.toまでご連絡いただくと幸いです。 ============クライオニクス・マガジン============ ・毎月1日発行 ・発行者:JCA(e-mail : cryo-j@kanon.to) ・発行人:山本 邦雄 ・このメールマガジンは、インターネットの本屋さん『まぐまぐ』 を利用して発行しています。( http://www.mag2.com/ ) http://www.kanon.to/jcamag.htmlから登録・解除ができます。 ・本メールマガジンはパブジーンからも発行しています。 http://www.pubzine.com/detail.asp?id=793 から登録・解除ができます。 =================================================