======================================================  クライオニクス・マガジン(第10号 2000/2) ====================================================== 日本初、そしてもちろん唯一のクライオニクス (人体冷凍保存)についての雑誌です。 今月号ではナノテクノロジーの最新動向を紹介します。 ======================================================  米国ではナノテクが表舞台に! ====================================================== ナノテクノロジーはごぞんじですね? ナノレベル(原子レベル)の 操作で物質を変換してエネルギー問題や資源問題も全部解決して しまおうという大胆な考えです。実は米国ではナノテク関連の予算が 伸びています。2000年度は2億7千万ドル、2001年度は 4億9千7百万ドルで84%も伸びています。一方ナノテク創始者 ドレクスラー率いるフォアサイト研究所(http://www.foresight.org) は1月までに新しい研究のために5万ドルの寄付を集めようとしました が3万ドルも集まりませんでした。ナノテクそのものが、ひとりの 天才のもとに集まったグループから、舞台をメインストリートに移動 しようとしています。今後の動きが楽しみです。 ======================================================  書籍「ナノメディスン」からの抜粋 ====================================================== 現在のクライオニクスの保存レベルでは、復活にナノテクノロジーを 使わないわけにいきません。(細胞が氷でこわれるのでその修復に 使うわけです) この分野でナノメディスンという言葉が昨年から 登場するようになりました。これについて紹介します。 10月に米国で出版された「ナノメディスン」第一巻からの抜粋を紹介します。 アルコー生命延長財団の機関誌の記事の要約です。 (注:抜粋元となった同書はいわゆる“紹介本”で、ナノメディスンの持つす べての可能性まで完全に網羅したものではありません。) この本は10月に開催される「フォーサイト会議(Foresight Conference)」の 会場で初めて発売される予定です。出版部数が非常に少ないため、同会議に直 接出向いて購入するのがベストでしょう。 以下に同書からの抜粋を掲載します(出版社からの複製許可取得済み)。 中でも、ナノメディスンが冷凍保存患者の回復に応用可能なこと、その応用方 法などについて述べている点は、特筆に価します。真新しい情報はそれほどあ りませんが、非常にしっかりした専門知識に基づいて書かれており、ナノメ ディスンが医療に応用可能であることがはっきりとわかります。 「あとがき」抜粋:要約 新しい医療技術と医療が迎える新時代 生命に関わるようなひどい損傷を負わない限り、生物は自己治癒力による修復 を続け、存在し続けることがわかった。 分子レベルのナノテクノロジーは実現可能である。損傷を受けた生体部分の代 役を務められる人工分子(molecular machine)が実現すれば、生体が修復す るまでの間、人工分子によって生体を維持することができる。 呼吸細胞あるいはナノテクノロジーを利用すれば、かなりひどい損傷を受けた り、回復の見込みがないほど身体機能が低下していたとしても、生命を維持 し、健康な身体に回復させることができる。それにより、不老不死が当たり前 となる時代が来るだろう。逆に、病気や虚弱体質、死などが珍しくなるかもし れない。 このようにナノメディスンには前途洋々たる可能性がある。しかし、働き盛り の人が突然不治の病に倒れることもある。心臓発作で突然死を遂げる人もい る。現代医学では治療不可能な病に冒された人々でも、ナノメディスンによっ て身体を保存し、未来の医療に希望をつなぐことはできるのだろうか? 今後、不治の病に冒された患者を液体窒素で保存し、何十年後(もしくは何百 年後)に蘇生させて、未来の進歩した医学で治療を施すことが可能となるだろ う。 このような手法はクライオニクスと呼ばれ、すでに数社がサービス提供をおこ なっている。もちろん未だ初期段階にあるナノテクノロジーがしっかりと確立 されるまでは、成功の保証もない実験に過ぎない。凍結により損傷を受けた細 胞を元通りにできるか否かは、現代医学ではまったく証明できない。しかし、 冷凍保存を受けなければ、その先に待っているのは、ただ「死」のみ。冷凍保 存を受ければ、(可能性は低いとは言え)生き延びられるかもしれないのだ。 何の保証もない賭けのように思えるかもしれないが、すでにいくつかのすばら しい成果があがっている。凍結保護物質(cryoprotectant)およびその他の化 学物質を血管へ迅速注入して、あらかじめ細胞にそれ以上凍結損傷が及ばない ようにしておけば、のちに回復させることができるかもしれないという。 結論 ナノメディスンの発達は、私たち自身にかかっている。私たちがどれだけ早く アクションを起こすかにかかっているのだ。ナノメディスンを作り上げるのも 人間、そのサポートをするもの人間だ。サポートする人間がいなければ、研究 は進まない。指をくわえて誰かが何かをしてくれるのを待っているだけでは、 何も始まらないだろう。私たちが実際にアクションを起こせば、すぐに何かが 始まる。私たちが生きている間にナノメディスンを発達させておいた方が、代 替療法の完成を待つよりは、遥かに良いだろう。 ============クライオニクス・マガジン============ ・毎月1日発行 ・発行者:JCA(e-mail : cryo-j@kanon.to) ・発行人:山本 邦雄 ・このメールマガジンは、インターネットの本屋さん『まぐまぐ』 を利用して発行しています。( http://www.mag2.com/ ) http://www.kanon.to/jcamag.htmlから登録・解除ができます。 ・本メールマガジンはパブジーンからも発行しています。 http://www.pubzine.com/detail.asp?id=793 から登録・解除ができます。 =================================================