21CMの特許、ABSの設立



9月24日「Congratulations to 21st Century Medicine!! 」
という記事がクライオネット(http://www.cryonet.org/)に
投稿されました。21世紀医学研究所(以下21CM、
http://www.21CM.com)の研究の特許が公開され、細胞を壊さないで
臓器(肝臓等)を低温保存し再生させることがほぼ可能になった
ようです。大ニュースです。21CMのホームページの更新は
決して早くはないのですが、一応チェックしておこうと訪問した
ところ「あれ?」と思うことがありました。「マイクがいない。」
Mike  Darwinは21CMの創立メンバであり、ソウル(Sail Kent)を
除けば21CMの中ではもっとも影響力のある人です。それよりも、
ジェリーと開発したサスペンションの手法で70年代から80年代の
アルコーが最も伸びた時代を支えた人です。いまでも若干の改善は
あるものの、マイクの手法で低温保存は行われています。
そのマイクが21CMを離れ、CCR(Critical Care Research)
という組織を立ち上げました。どうなっているんだろう??

数日後、ソウルから解説がありました。一言でいうと、
「21CMは臓器等の低温保存技術で市場にうって出る」と
いうことです。米国ですらも、クライオニクスの印象は悪く、
推進している人達は「得体のしれない、気味が悪い人たち」
と見られています。しかし、今回21CMが達成した成果は
現在の医療でも様々な応用が可能なものです。科学の王道を
歩けるものです。それをまだ認知されていないクライオニクス
といっしょの事業体にするのは具合が悪かろうとの判断のようです。
それで、マイクは別組織をたち上げることになったようです。
「21CMはBrain Cryopreservationの研究を目標にしていない」
とソウルは言っています。

では、Brain Cryopreservation(脳の低温保存)の研究はどう
するのでしょうか? マイクのCCRがやるのでしょうか?
違います。ABS(Advanced BioSciences)という新しく設立する
団体が行います。資金の募集は来年の早い時期に行われるとの
ことです。あまりお金がない人も投資できるようにしたいと
ソウルは言っています。原文を転載します。  It is my inten-
tion to make it possible for both wealthy (and not so wealthy) 
cryonicists to invest in ABS....
「あまり裕福でない人」にカッコがついているところが笑えます。
(泣けます??)

さて、ちょっと医療に詳しい人は「本当に臓器の低温保存ができる
のか?」と疑問をもたれるでしょう。実は私もそうです。
クライオネット読者からも「デモはしないのか?」との質問が
ソウルにありました。その答によると、いま機械を待っていて
年内には到着するだろう。そうしたらデモができるようになる、
ということでした。21CMはソウルがビタミン剤販売等の事業で
儲けたお金で運営されています。装備は決して潤沢ではありません。
昨年5月ポールが日本にきてプレゼンをやったときも、「研究はかなり
いい線までいっているが、検証する機器が用意できないのだ」と
言っていました。今回の特許の実験も企業か大学の設備を借りたの
でしょう。しかし、成果がでた今は機械を手に入れることができる
のです。確実にレベルは上がっています。

クライオニクスの世界と10年以上関わっていますが、一つの時代
が終わり、新しい時代にはいったな、と感じています。
JCAとしては、この21CMのデモの結果や、ABSの設立等を
ウオッチし、日本(のそんなに裕福でない人)からもABSの事業に
投資できる枠組みを作ることが当面の大きな仕事でしょう。