クライオケア年次会議


11月にCryocareの年次のミーティングがありました。
以下に要点をまとめますが、その前にCryocareの組織を
簡単にご紹介しておきましょう。

Alcorは大きな団体で多くの機能をひとつの団体で持って
いますが、Cryocareは機能別に4つの組織があります。

Cryocare : 会員にサスペンションサービスを提供する。
BPI : Cryocareから委託され、実際のサスペンションを行なう。
Cryospan : サスペンションの済んだ人体を長期保管する。
IPCF : 長期保管されている会員の資産を管理する。

ミーティングの議事録は、そのままのサマリではわかりにくいので、
議事録を解説するように書いてみました。

(1)Cryospanレポート

 現在でもSaul Kentがオーナーであり、16人が長期保管されて
いる。もうあと3、4人しか保管できる容器(Dewarといいます)が
ないが、増設の見通しがたっていない。新しい組織形態を考えている。
(あとでのべます)

(2)CryoPreservationサービス

 Cryospanより問題は深刻である。現在、BPIによってサービス
を供給しているが、サービスを提供できる人材がマイク(Mike Darwin)
一人でありその他の人材が育っていない。BPIとの契約は1999年に
切れるが、マイクは今のままでは更新するのは難しいという。
(たった一人なので週7日、24時間緊張していないといけない)

マイクのような人材の候補として医療補助者などのリクルートが考え
られる。何人かの人間を教育していこうという意見が周りからだされたが、
マイクはマイク自身を保存してくれる人材がいないということを問題に
しており、中途半端な教育はではなく、ひとりでも信念を持った人を
育てるべきと考えており、議論は最後までかみあわなかった。

(3)メンバの書類の整備状況

 52人のメンバー(半数以上)が、家族の同意書をもらっていない。
これはみずからの人体を保管するために必要な同意書であり、52人も
同意書を取り付けていないというのは大きな問題である。

(4)サービス料金

 頭部保存は最低58、500ドル、体全体は125、000ドルである。

(5)ファンディング

 現在、ICPF(Independent Patient Care Foundation)による財産
管理が可能であるが、これは会員が保存前に、信頼できる財産管理人を
指名して財産管理をまかせることによって成り立っている。

 米国内閣歳入法501c13項により、クライオニクス団体が信託
サービスを提供することが可能な状況になってきている(注:通常のNPOは
501c3項によって設立されます)ので検討していきたい。
CryospanとICPFの機能を持つ Stasis Foundation
の設立を検討している。

 以上です。困難な状況が読み取れますが、率直に困難が表明されていて
かえって信頼できます。Alcorが耳触りのよい議事録を公開しているのと
好対照です。サマリには書きませんでしたが、Alcorの議事録では
Alcorの幹部への不信も率直に表明されています。

議事録原文(英語)はここです。