■■■ ■ ■ SFを読もう! ■                               緑川ひかる 最近、ちょっとSFが下火です。単なる夢物語でなく多くの人に力を与え、科学者 に刺激を与え続けたSFが落ち込んでいるのはもったいないことです。 アーサー・チャールズ・クラークの2001年宇宙の旅のようなSFはもう出ない のか? そんなことはありません。が、科学技術の発展がものすごいスピードで進み、 現実以上に刺激的なSFを書くことが難しくなってきたように思えます。しかし、 そんな中でも科学技術と社会の動向をしっかり捉え、「一歩先」をみすえたSFは でています。それを2点紹介しましょう。 ▼ マイク・レズニック 「キリンヤガ」(ハヤカワ) 科学技術の進歩により「人間性」が失われることを恐れる人たちが、古代アフリカ の掟に従って暮らすコミュニティを作ります。「逆子は生かしてはいけない」 「力ある男の妻に子供ができない場合、別に女を娶って子を作らねばならない」 といった掟にいかに現代人が向かい合うか・・・大変興味深いです。 ▼ ジェイムズ・L・ハルペリン   「天才アームストロングのたったひとつの嘘」(角川) 「完璧な嘘発見器ができたら人類はどう変るか?」がテーマです。おもしろいです。 人類が変っていきます。ハルペリンの第2作「最初の不死」は「死を超越しようと するとき何が起るか?」という作品です。これも人類変ります(笑) 鏑木(&緑川)が日本での版権を持っており、この「死を超える」ことについて きっちり議論をしてその結果を解説に書きたいと思っています。ただいま 参加者募集中です。http://www.cfnode.com/projects/index.html へどうぞ。 おっと、未来には元気も必要!では元気の出るSFも紹介せねば、ズバリ!  ロバート・A・ハインラインの「夏への扉」です。ストーリーも見事、 タイムマシンやコールドスリープといった小道具の使い方も見事ですが、 主人公達の「純愛」がさわやかなのです。3重丸のお薦めです。