■■■ ■ ■ 君はカーツワイルを読んだか? ■                            緑川ひかる 2000年の春ころから、tranhumanist = trans + human.. 技術で人間存在 を超えようとする不遜な(笑)奴ら・・ の周辺がざわめきはじめました。 「実にすごい本だ」「これこそ未来志向だ」「俺は、未来の聖書に出会った」 (ええ! ホント??)等等・・ ざわめきのものは1冊の本でした。 レイ・カーツワイル「スピリチュアル・マシーン」、進化した人間が作った 知能がやがて人間を超える・・・ 世界は必ずそうなる。そして、そうなったら 我々はどうなるか?? 大変興味深い本でした。実は、レイ・カーツワイル は作家ではありません。ひかるもそうですが、「未来の音楽」に関心ある 人ならこの人の名前を聞いたことがあるでしょう。伝説のシンセサーザー "Kurzweil250"の作者です。OCRソフトやそれを応用した視覚障害者への 文字読上げ機を実用化した人物です。アートにも造形が深く、ビジネスの 視点も持った彼の、20世紀の総括とも言える好著が、1999年に 出版されたのです。で、今年、日本でも翻訳出版されたのです。 この本はITテクノロジーとナノテクの進化で、機械の「知能」は人間を超え ろことが必然で、機械の持つ「自我」は人間の「自我」と区別がつかなく なるだろうということを説得力を持って述べます。SFの世界であった マインド・アップロード(人間の脳の中身を機械に移植し、下手すると永遠に 生きる)等も確実にできるようになる、と説明します。そのとき、機械の自分 と生身の自分とどっちが本物?? というSF界では古くて新しい課題にも 積極的に言及します。 また、いつ何が具体化するのか、を具体的にイメージが湧くように書かれている のも面白いです。たとえば、視覚・聴覚のバーチャルリアリティは2007年 までには本物と見間違えるようになるだろう。触覚のバーチャル・リアリティ (仮想接触)は2020年代に完成し、恋人たちは距離に関係なく、仮想SEX できるようになるだろう・・・ 仮想接触アダルトビデオなんか、爆発的に 売れそうですねー。 とにかくお勧めの一冊です。翔泳社から、2800円です。 ちなみに、副題は「コンピュータに魂が宿るとき」です。