「ホスピスとクライオニクス」
米国では千人もの人がクライオニクスの契約を済ませています。
本当に復活(reanimation)できるかどうかはまだまだ議論が
あるとしても、米国ではクライオニクスのサービスを受けること
自体は違法でもないし、冷凍保存の「初期処理」ができる人も
徐々に増えており、決して順調ではありませんがクライオニクス
のコミュニティが育ちつつあります。
日本ではどうでしょう? まだまだクライオニクスは気味の悪い、
得体の知れないものと考えられています。法律的に「死」が宣告
された体をいじることについては法的な壁があるようです。
それ以上に、魂が抜けた体をいじることに対する抵抗がとても
強いのが日本の特徴です。実は四年前、ホスピスでクライオニクス
サービスを提供できないかと調べたことがありました。ホスピスって
ご存じでしょうか? ガンなどで末期的症状になった人が、積極的
治療をせず、ゆっくりと安らかに、残り少ない人生をよきものとして
死んでいく施設です。ホスピスである限り、患者の「心の平安」
のためにあらゆることをする必要があります。クライオニクスの
サービスが受けられ、少しでも未来で蘇生できる可能性があることが
患者の「心の平安」につながるのであれば、ホスピスはクライオニクス
から目をそむけてはいけないわけです。
以上のような問いかけをホスピス関係者にしたところ、答えは、
「理屈ではわかる。しかしそうはいかないでしょうね。」
ということでした。これは四年たった今でも変わっていない
ようです。やはり日本では体を切り刻むことに対する心理的
抵抗は相当なものです。この時点でしばらくは日本で
クライオニクスのサービスを受けるのは難しいだろうと考え
ました。
では、日本に住む我々はどうすればよいのでしょうか?
個人的に米国に住むということはできるでしょう。が、
永住権もすぐには手にはいらないし、住むためにはビザが
必要で、たとえば米国では就労しなければビザは降りません。
ひとつの可能性として、自らクライオニクスサービスを
提供する会社を立ち上げて、そこの株主となると同時に
雇用契約を結ぶという可能性があるでしょう。
具体的には、ホスピスに隣接してクライオニクスプロバイダーを
設立するという形がベストでしょう。日本と違って、欧米、
東南アジアの一部、台湾などは日本よりはかなりプラクティカル
でホスピスと協力できる可能性があるでしょう。
また、できれば安楽死が認められている国がいいです。
というのも、将来の蘇生の可能性を考えると、なるべく
壊れていない脳と体で冷凍される方がいいわけです。
治る見込みのないアルツハイマーになったら脳神経が
壊れていくのを座して待つより、さっさと安楽死を選らんで
サスペンションされてしまったほうがいいわけです。
具体的にどこの地域がいいでしょうか?
いまのところ上記の条件を一番満たすのはオランダでしょう。
米国以外の何カ国かのメンバで協力して、オランダのどこかの
ホスピスを説得して隣接してクライオニクス・プロバイダを
設立することを真剣に考えていい時期かと思います。